心の風景 富嶽百景
ただ今休業中のもう一つの「本ブログ」用に撮っておいた写真です。

ここ河口湖を見下ろす御坂峠にある天下茶屋。
太宰治が師である井伏鱒二を訪れ滞在した所です。

小説「富嶽百景」は、作品作りに悩んでいた太宰が、この天下茶屋滞在中の心境の変化を綴った私小説。

御坂峠からの富士を
「どうにも註文どほりの景色で、私は、恥づかしくてならなかった」(太宰治「富嶽百景」より)
スランプに陥っていた太宰が悶々とした心で見た富士の姿。
もともと太宰は富士に対しての俗っぽいイメージが好きではありませんでした。

ところが、滞在中に心の変化が現れてくると、富士を美しいと思うようになってきます。
富士に対する賛美と、その美しさを際立たせていく心象風景を太宰の言葉で見事に描いています。

結局はいつも変わらず佇む富士。
そこに見える富士が違って見えるのは、心のあり方なのだと教わっているような気がします。

ユーモアたっぷりに終わる最後も、心温まる作品となっています。

これからも、もっともっと富士山を撮っていきたいと思い始めた時に、
良い本に出会うことができました。
~御坂峠天下茶屋~