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女と碌山(碌山③)


碌山美術館は、点在する建物を順路に沿って回っていきます。
ここまでは、彫刻の鑑賞の仕方もわからないまま、たくさんの作品をさらりとみていたのですが、
次の館で、心が大きく揺さぶられることになりました。


碌山1857


萩原守衛生誕140周年記念 傑作 《女》 を見る 展
2019年4月20日~9月29日まで

“新宿中村屋の女主人、相馬黒光を心のモデルに、碌山が最後に手掛けた彫刻 《女》 とは”


碌山1874


入ると、まず新宿中村屋の歴史や、女主人黒光についての説明から始まります。
「あ、バターカリー...そうか、新宿の初代マダム!」
タイムリーな話題でもあったので興味がわき、丁寧に読み進めていると、
次第に、碌山の純粋な人柄、心の機微、葛藤、悲しみが心に響き、引き込まれていきます。


安曇野2035


碌山がまだ青年の頃、穂高でスケッチをしていると、声をかけてきた女性が黒光です。
運命の出会いとなりました。
聡明な黒光とは美術や文学の話が合い、碌山の憧れの女性となりました。


安曇野2073


彫刻家として帰国した碌山は、新宿で黒光と再会。
彼女の女としての苦しみを知り、そばで黒光を支え続けるも、
次第に恋の炎となって燃え上がり、秘めた思いに苦しむようになります。
その苦しみの中から、傑作が次々と生まれていきました。


安曇野2068


黒光が心のモデルとなった 《女》 についての説明の一部です。
「足もとからラセン状の動きが天上へと突き抜け、光と影のくり返しが作品にリズムを与えています。」(碌山美術館)


「心の光と影」を形にすることに加え、「自然の光と影」も巧みに計算されていることに驚きました。
彫刻の美に初めて触れ、言葉に表せないほどの衝撃と感動を受けました。


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彫刻をはじめてからわずか三年で、ロダンを乗り越え独自の美を作り上げた碌山は、
新宿中村屋で突然の吐血、32歳という若さで帰らぬ人となりました。


《女》 は絶作となりました。



つづく
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